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【レビュー】[リミット]最初から最後まで救いがなさすぎる「究極のカタルシス」がここにある

黒坂岳央(くろさか たけを)だ。
■Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

これほど怖い映画はなかなかない。最初から最後まで呼吸が苦しく、閉所恐怖症の人は絶対見たらダメな映画。衝撃すぎるラストのせいで、視聴後に脱力して動けなかった。これはすごい作品だ。

「意識を取り戻したら土に埋められた棺桶の中」、物語はここからスタートする。よくある邦画の展開だと、知恵やテクノロジー、驚異的な身体能力を見せて脱出するものだろう。あいにく、この映画の主人公はしがないトラック運転手、そんなハリウッドヒーローを思わせる能力は持っていないのだ。

 

黒坂的感想★★★★★
AmazonやYahoo映画での評価は低い。人を選ぶ作品だと思う。心理的残虐シーンが多いので、カタルシスが苦手な人には向かない。あと、派手なアクションやハッとする知恵や攻略を期待する人にも向かない。地味だから。最初から最後までコテンパンに心を痛めつけられるのを見ても、耐えられるメンタルの持ち主にオススメ。

個人的にはスゴく良かった。シナリオもわかりやすい。

 

あらすじ

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ざっくりしたあらすじはYouTubeのオフィシャルトレーラーを見てくれ。

 

イラクで働くアメリカ人労働者ポール・コンロイは襲撃を受け、目覚めたら棺に入れられ土の中にいた。手元にあるものは携帯電話、ライター、ナイフ、ペン、酒。なぜここに入れられたのか?果たしてここから脱出できるのか?残された空気からタイムリミットは迫っている。

引用元:Amazonの作品紹介より

 

Amazonレビューは当てにならない

正直、この作品ほど「Amazonでつけられているレビューが当てにならない」と感じた映画ははじめてだ。

 

・地味な展開。

・主人公がバカでイライラする。

・ライターが熱くならないのがおかしい。

・低予算。

 

低評価レビューはこうしたものばかり。でも、レビュワーの評価は的外れだと視聴後に感じた。

地味な展開って、そりゃ棺桶の中で脱出を試みる物語だから、カーチェイスとか銃撃戦はないでしょう。

かけた予算と映画のクオリティは全く一致しない。

映画に出演する主人公は全員がハリウッド級のスーパーヒーローではなく、特殊な訓練を受けた軍人でもない。ただの一般市民であり、イチトラック運転手にすぎない。だからこそ、妙案も浮かばなければ、驚くような身体能力の高さもないのだ。視聴者と近い一般人が知恵を絞り、葛藤する心理描写にこそこの映画の魅力はある。

ライターが熱くならないとか、携帯の電池持ち過ぎとかそりゃさすがに重箱の隅を突き過ぎで、作品の本質外って話だよな。90分間、閉じられた空間での葛藤の描写には仕方がない。個人的にはむしろそんあリアリティなんて持ち込まれなくてよかったと思うくらい。

レビューをチェックして、映画を見る判断をしてしまう人は、この映画を見逃す可能性がある。もったいないよ。

 

感想

ネタバレはしないので安心しながら読んでほしい。

イラクで実際に起きているワンシーンを切り取ったノンフィクションであり、スペイン人の監督が米国政府を皮肉った風刺作品として視聴するとこの映画は恐怖しかない。特にこの主人公は頼みの綱にことごとく裏切られてしまうのだが、「もうやめて。これ以上はもうやめて。」と言いたくなるような心理描写が続く。まるで、立っているだけで精一杯の状態のボクサーに対して、雨あられのストレートやアッパーをお見舞いするような感覚。とにかく辛い。オレみたいに、あっという間に登場人物に感情移入する性質の人は閲覧注意だ。

 

そして最後の10秒間のラストのどんてん返しがすごい!この10秒間だけでも、この作品の価値を大きく高めている。詳しく書くとネタバレになってしまうのでこの辺にしておくが、「なにこれ。最初から最後まで徹底的に救いなさすぎ! 90分間の生への渇望と、絶望への抵抗がラストで究極に無価値化された」と感じて放心状態になること間違いなしだ。オレは辛かった。心を慰めるために、色んな個人ブログの感想記事を読み漁っていたけど、それは逆効果でこの究極の胸糞ラストに心を痛めつけられた同士ばかりが出てきて余計辛かった。

 

見る価値のある作品

平和ボケしている日本人は見てほしい。「日本は後進国!日本オワコン!海外最高!」と思っている人は見てほしい。日本の平和のありがたさがわかるだろう。オレはムダに日本最高などとは思っていないけど、間違っても、日本に住んでいればこの主人公のような辛い状況に落とされることはない。平和のありがたみを再認識できる意味でも価値がある。

オレが個人的に得た教訓としては、「頼れるのは自分だけだ」ということ。もしかしたら別のルートで主人公は助かったかもしれない。そう思うと辛い。だから状況は違えど、心理的に土の中の棺桶に閉じ込められるような感覚を覚えたらこの作品を思い出し、自力で突破するための知恵を絞りたいと感じた。本当にいい作品。Amazonの低評価レビューに負けず、代わり映えしない日常に飽きてカタルシスが欲しくなった人は見てほしいと思う。

黒坂 岳央

高級フルーツギフトショップ経営、雑誌・テレビのビジネスジャーナリスト、作家、講演家、投資家と幅広く活動。 元・高卒ニート&フリーターだが、米国大学留学を経て外資系勤務後に起業。 メルマガも書いてます→https://takeokurosaka.com/mailmagazine/

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