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世界第4位の移民大国・日本が移民から見捨てられる日

黒坂岳央(くろさか たけを)だ。
■Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

今、静かに日本で「移民問題」が起きている。新型コロナの感染拡大を受けて、日本政府は今年4月に外国人へ厳しい入国制限を課したのだ。このことにより、日本の在留資格を持つ外国人の再入国ができなくなった。

移民に支えられている国家となった日本、この国が移民にとって魅力的であリ続けられるかどうかは今後、極めて重要な問題になる。少子高齢化と中国の大国化により、労働力不足の深刻化が待ち受けているからだ。

 

https://twitter.com/takeokurosaka/status/1296580186754781185

 

世界第4位の移民大国・日本

経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国のデータによると、上位の国はドイツ、アメリカ、イギリスと続き、日本は4位だ。これは2015年のデータであり、コロナ後は各国移民を拒絶気味なので数字は大きく変化したかもしれないが、いずれにせよ直近まで日本は移民大国だった。

日本の人口のピークは2008年の1億2,808万人で、そこから減少に転じた。減少速度にこれから加速がつくことが確実視されている。人口減少した後に、現行の国力を維持するには労働力の空いた穴を埋める「人」が必要になる。出生数をドラスティックに増やすことは現実的でなく、仮に何らかのミラクルを起こしてそうなったとしても、生まれた赤ちゃんが労働市場に加わるのは今から20年以上も先の話だ。少子高齢化が問題視されていたのは1980年代のことで、今から40年近くも前のことだ。緩慢に深刻化した問題は、いかなる手を尽くしても緩慢にしか回復する手段はない。

人口が減りつつある日本の労働力は移民が支えている。東京ではコンビニや牛丼チェーンの店員役の多くを外国人が務めているのが現実だ。さらに、これはあまり知られていないが、建設や農業といった労働集約的な現場においても多くの外国人が働いている。特に農家の現場においては高齢化が著しく、外国人研修生がいなくては成り立たないところも少なくない。

厚労省調査によると、コロナ襲来の直近では外国人労働者128万人が働いていた。政府は2018年、「2025年までに新たに50万人の外国人労働者を増加させる」と目標を出していた。望むと望まずに関わらず、すでに日本は移民に支えられている国家なのである。

 

新型コロナで外国人を締め出す

そんな移民大国日本が今年4月に実施した入国規制に対して、New York Timesに掲載された記事は厳しい見方を示している。「Japan’s Locked Borders Shake the Trust of Its Foreign Workers」では、新型コロナの感染拡大防止のため、日本政府は外国人への厳しい入国制限を課した問題を取り上げている。

The restrictions have provoked loud protests from foreign businesses and residents in Japan.
(日本に在留する外国人並びに外資系企業からは、入国規制について厳しい非難の声を呼び起こす事態となっている)

引用元:New York Times記事より

もちろん、厳しい入国規制は日本に限定した話ではないし、毒性や感染力の異なる複数の株の存在の可能性が考えられていた4月においては、日本が国家と国民を守るための「英断」の措置とも取れるだろう。

だが「条件付き入国」など、緩和の可能性もあり得る。たとえば米国疾病予防管理センター(CDC)は、日本の感染症危険情報度合いをレベル3(渡航中止勧告)に定めている。米国への入国後は、ホテルなどの宿泊施設に14日間待機を余儀なくされるが、入国自体は可能だ。これでは通常の旅行などはままならないわけだが、一時的に祖国に帰国し、離れた祖国の家族に会ったり、葬儀に参加することが可能になる。

※尚、2020年8月21日に、日本政府は在留資格のある外国人に対し、PCR検査の実施などを条件に再入国制限緩和を実施することを決めた。

The ban has also affected the 2.5 million foreigners who remain in Japan. Many have faced agonizing decisions over whether to leave to care for a dying parent, grieve the loss of a loved one or reunite with a spouse or child, knowing that doing so may make it impossible to return.
(日本国内の250万人の外国人にも影響は及ぶ。死の淵にある親の看病や、家族の死を悼むため、夫や子供との再会を果たすために出国を望むも、再入国が不可能になる可能性により、多くの人が辛い選択を迫られているのだ)

New York Timesの記事では、このようにセンチメンタルな事情も取り上げている。実際に自分の身に置き換えて考えると、彼らの辛さが伝わってくるようだ。

 

移民はいつまで日本に来てくれるのか?

過去にビジネス雑誌・プレジデントで「100年で人口は半減…そう遠くない未来、中国で出稼ぎ日本人が爆増する」という記事を書いた。将来的に中国が大国化することで、一人あたりの日本の豊かさを抜き去る。その時、近隣のアジア諸国は日本ではなく、中国で就労機会を探る可能性があることへ警鐘を鳴らす記事だ。

これが実現すると、日本への出稼ぎ労働者が減少するだけでなく、日本の有能な人材への高待遇のオファーが提示される中国企業へ流れる可能性もある。そうなると、「移民に来てほしくても来てもらえないという」恐るべき未来もあり得るだろう。

 

「移民が来ると治安が悪化する」

「社会コストの肥大化を招く」

「宗教問題が残る」

 

このように移民にまつわる問題を上げる人もいるだろう。今回はこの問題に対する賛否は示すことはしないが、こうした問題は「外国人にとって日本が魅力的な国で、移民が多い」という条件下で成り立つ議論だ。彼らが日本に見向きもしなくなる日がくれば、このような移民の是非を巡る議論自体が無意味になる。

移民を大量に受け入れるかどうかは別にして、日本へ移民したくなるような国であり続ける必要はあるだろう。

 

黒坂 岳央

高級フルーツギフトショップ経営、雑誌・テレビのビジネスジャーナリスト、作家、講演家、投資家と幅広く活動。 元・高卒ニート&フリーターだが、米国大学留学を経て外資系勤務後に起業。 メルマガも書いてます→https://takeokurosaka.com/mailmagazine/

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