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日本人YouTuberはGoogleの働きアリ?

米エール大助教授で経済学者の成田悠輔氏が先日、Twitterで投稿した内容が大きな反響を呼んでいる。要約すると、「本当に稼いでいるのはYouTuberではなくGoogle社だ」という冷静な指摘である。

実際、この指摘は正しい。Google社は大きな収益を稼ぎ出すYouTuberのチャンネルからも莫大な利益を得ている。そしてこの構図はGoogle社だけに留まらない。Facebookなど広告ビジネスも同じで、ユーザーがSNS投稿に励むほど広告で利益を得るようになっている。また、AppleやAmazonは広告ビジネスモデルではないが、それぞれAWSというクラウドサービス、スマホやタブレットなどのプロダクトでやはり富を得ている。結果的に日本の富が米国に移転しているという状態が続いている。さらにこれまでTV局に流れていた広告費がYouTubeに投下されており、Google社はTVのスポンサーの富も吸っていることになる。一見すると、華々しく見えるYouTuberも、収益構造の観点で言えばGoogleにせっせと貢ぐ働きアリのようなものと言えるかもしれない。

個人的に感じた見解を述べたい。

 

メディアプラットフォーマーは女王アリ?

YouTubeに限らず、あらゆるメディアのプラットフォーマーは同じ構図だ。たとえば無料ブログサービスを提供するアメブロは、アカウントを作って記事を書いてくれる人が集客をすることで広告の利益を得ているし、ニコニコ動画などもユーザーが自主的に動画をアップして広告利益を出すようになっている。つまるところ、メディアプラットフォーマーとは女王アリのような役割を担っていると表現できる。

件のツイートが大きな反響を呼んだのは、これが国境を跨ぐビジネスだからで「日本の富が米国に移転している」という事実を鮮明にしたからだろう。なぜ日本に同じことができなかったのか?という点について筆者は過去記事で日本からはGAFAが生まれず、GAFAの消費者にしかなれない理由を執筆しているのであわせて参考にしてもらいたい。

 

日本がGoogle天下を許した2つの理由

まず現況をもたらした理由は細かく言えばたくさんあるが、概ね2つあげられると思っている。

まず1つ目にITサービスにおける「Winner takes all(強者総取り)」という特性によるものだ。コンピュータのOSや、ブラウザ、動画サービス、SNSなどを見れば一目瞭然だが、エレクトロニクスや自動車と比べるとプレーヤーの数は極端に少ない。これは特定のサービスにユーザーが極端に集中する特性によるものだ。スマホを使う上でiOSとAndroid以外のものが出たとしても、積極的に手を伸ばそうと考える人は皆無だろう。そしてこの極端といえるシェア争いが、グローバル規模で行われている。そのため、中途半端なものを作ってもムダになるリスクが大きい。そして勝ち抜いたのはGoogleだが、敗北したのは日本に限らず、他国でも同様だと推測できる。様々な国で多くの代替サービスが生まれ、名を挙げる前に沈んだはずだ。日本が後発で今から追い上げるには、このような産業構造的な特性もあり極めて難しいだろう。

また、もう1つの理由に日本人のグローバル競争への意識があまり強くないという点もあると思う。日本は国内マーケットが大きく、日本人を向いてビジネスをするだけで十分利益が出せる状況がずっと続いてきた。そのため、商品やサービスは日本人志向に特化したガラパゴスになりがちだ。英語力や異文化理解力のある人が多くないという人材の課題もある。実際、グローバル競争を大きく勝ち抜いた分野は、ものづくりとゲーム、アニメ、食品くらいではないだろうか。さらに日本企業はグローバルに戦えるエクセレントカンパニーより、中小零細企業が圧倒的に多い(99%)という産業構造もそれを手伝う。総合的に考えて、日本はグローバル競争が得意でないと言えると思う。

 

今から国産ITプラットフォーマーを育てて、Googleのシェアを奪い取るのは難しそうだ。しかし、活路はまったくないわけではないと思う。それはプラットフォーマーの使うサーバーやハイエンド部品でシェアを取るのである。当然、プラットフォーマーがあげるようなダイナミックな収益は望めないが、それでも同社がサービス規模の拡張すれば、それとともに日本製品が使われることになる。そうなれば他国で稼いだ富を日本に戻すことができるだろう。最大の問題、それはサプライチェーンを担う日本製の部品のシェアが他国アジアの追従を受けているという点だろう。

黒坂 岳央

高級フルーツギフトショップ経営、雑誌・テレビのビジネスジャーナリスト、作家、講演家、投資家と幅広く活動。 元・高卒ニート&フリーターだが、米国大学留学を経て外資系勤務後に起業。 メルマガも書いてます→https://takeokurosaka.com/mailmagazine/

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