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人間の本性が出る2つのタイミング

人間の本性は普段は、なかなかその姿を見せることはない。多くの人は本性を簡単に見せることは避ける。だから時折、普段は紳士的な態度を取る人でも、怒れる本性を顕在化させてしまうことがあるのだ。そして筆者は、ほとんどの人が隠しきれず本性を出すタイミングが2つあると信じている。結論を先に言えば「余裕がない時」と「相手より圧倒的に立場が強い時」である。

 

追い詰められた時に本性を出す人

人は普段、理性で言動をコントロールしている。内心では怒りを感じた時、ストレートに相手にそれを見せることはせず、理性というブレーキで見せないようにする。だが、それができなくなる瞬間がある。それは追い詰められて余裕がなくなった時だ。

筆者は過去にこれを強烈に感じた体験がある。ビジネス駆け出しの頃にある発信者(ここではG氏とする)と一緒にフードイベントのコラボをしたことがあった。筆者は自社のフルーツを提供、G氏は飲料サービスを提供した。結果的にはまずまず成功し、イベント参加者からの入金があった。その場の話し合いによりG氏ではなく、その場はひとまず筆者が売上金を預かることになった。

「それでは経費や原価の計算書を作成した上で後日、最終損益計算書を出します。それを見て了承頂けましたら、すぐにご指定の口座へ振込をします。資料作成にお時間を頂くので来週水曜日までお待ち頂けますでしょうか」とG氏に伝えて了解を得て、その場は終わった。だが、さっそく翌日の夕方からG氏によるしつこい入金の催促が入るようになった。筆者は逃げるつもりなど毛頭なく、むしろ自分の取り分は少なくなってでも一生懸命イベントを盛り上げてくれたG氏へ感謝の気持ちを示すべく、彼に按分割合を多めに支払いたいとすら思っていた。

しかし、G氏はまるでこちらがお金を持ち逃げすると思っているほどの疑心暗鬼で執拗に「一刻も早く僕にお金をください!」と非常に語気を強め、ある種の異常性を感じるほどの取り立てを始めた。あまりにもこちらへの不信感を隠そうともしない取り立ての態度のG氏の対応に不信感を抱き「とにかく早く関係を終わりにしたい」と思い、筆者は明らかに多めに代金を支払った。支払日は約束していたより数日間早いタイミングにした。送金の連絡を入れた瞬間、G氏は入金額に満足したらしくそれまでの憤怒の表情が普通に戻り、「あなたを最初から信用していました。もしも急かしてしまったらすいません。またイベントにぜひ呼んでください」と瞬間的に柔和な態度に戻った。

G氏はSNSのアカウントでは「温厚な性格でビジネスではお金、お金していません。信用第一!」という趣旨のプロフィールを出している。だが、筆者には彼の本性はとてもそうには感じられなかった。むしろこれほどお金、お金している人とコミュニケーションを取ったことは一度もなかったので「人の本性はプロフィールには現れないのだな」と強く感じた出来事だった。筆者からは彼を追い詰めた記憶は何もなく、約束したことはすべて期日前に履行して誠実さに務めていたつもりだったが、経済的な逼迫か何かが彼の隠された本性を引き出したのではないかと推測している。

 

圧倒的優位性がある時、人は残酷になる

そしてもう1つは自分に圧倒的と言えるほどに立場の優位性を得た時、人はとても残酷になると思っている。

これはスタンフォード監獄実験として知られる、あまりにも有名な話に留まらない。立場の弱いお店の店員さんや駅員さんに対して、高圧的暴力的な態度で挑む人の話は誰しも聞いたことがあるはずだ。「自分は立場が強く、相手は逆らえない弱い立場」という状況に置かれた時、一部の人の中で嗜虐的な目覚めが起き相手を痛めつけて憂さ晴らしをしてしまう。人間としてこれほど醜い本性を見ることは滅多にないが、これは企業や学校でもパワハラやイジメなど人間社会においてはいかある文化圏であっても一定数発生しうる。一部の人間が持つ機能性に近い存在と認める他はないだろう。その存在は認めつつも、その機能性に迎合する意志力の薄弱さをその人の本性として観察することが可能である。

よく女性が男性とデートしていて、店員さんに態度が悪い様子を見ると覚めてしまうという話があるが、これは極めて納得感のある合理的判断と言える。そのような男性は理性のタガが弱まるタイミングで、間違いなく相手の女性にも同じような態度に出ることは明確だからだ。逆にそうならない理由を見つけ、否定する根拠を集めることは難しい。早々に関係を切ることは自己防衛の観点からも極めて合理的である。自分は女性ではないが、同じ感覚を持っており立場の弱い第3者に偉そうな態度を取る人物は、本能レベルで徹底的に避けたいと感じるのでこれはよく理解できる。一部の人は自分より圧倒的に強い立場を得ると、隠しきれない加虐的本性を出してしまうのだ。

 

人間の本性はじっと観察すると、細かい点に現れる。そしてその顕在化するタイミングはだいたい決まっている。バレていないと思っているのは本人だけであり、人の目は存外節穴でもない。分かる人にはわかってしまうのである。

黒坂 岳央

高級フルーツギフトショップ経営、雑誌・テレビのビジネスジャーナリスト、作家、講演家、投資家と幅広く活動。 元・高卒ニート&フリーターだが、米国大学留学を経て外資系勤務後に起業。 メルマガも書いてます→https://takeokurosaka.com/mailmagazine/

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