最初に結論、英会話ができるようになりたければ、会話訓練を今すぐやめてください。理由はそれをしても、永遠にあなたが満足するような英会話力は手に入らない、と断言できるからです。
「いやいや黒坂さんいきなり何の話ですか? 今の話、なんかよくありそうな煽りじゃないですか?」そう思いましたか?いえいえ、むしろ逆です。黒坂は世の中に溢れかえっている「間違った英会話偏重の煽り」へ「反論」をしています。そう、これは反論なんですよ。
世の中は英語学習にまつわる間違った意見や煽りだらけです。「英語なんてスポーツと同じ。海外でたくさん話せばいい」とか「勉強ばかりしても英語が話せるようにならない。会話訓練をしなさい」こういう話をして自社商品やスクールへ誘導するインフルエンサー、英会話スクールって山ほどいますよね?
こんな薄っぺらい表面的で根拠もロジックもないようなデタラメをアッサリ信じないでください。「どうせお前らは情弱だから、この程度の説明で丸め込める」とあなたは彼らからバカにされているんですよ。怒ってください。なんなら一揆を起こしましょう。
ハッキリいいます。全部、間違っています。あなたが真に時間を使うべきは英会話訓練ではなく、地味な英語の勉強です。正しい方向で努力を積み上げることで、あなたは確実に英会話ができるようになります。
この動画では科学的根拠付きで、徹底的にロジカルに本質的な話だけをしていきます。もしかしたら、これまで数多くの人が主張する聞こえのいい意見を聞き続けてきた人には聞きたくない話も含まれているかもしれません。きっと一部の人からは、反発の声も出てくると思います。
ですが、それでも言わずにはいられない。ウソを信じて成果が出るはずもない英会話訓練で、貴重な人生を時間をムダにし続ける学習者を見過ごすことはできません。別に盲目的に黒坂を信じろとはいいません。むしろ逆です逆。この動画もしっかり疑いの姿勢で見てください。そして話を聞いた上で最後はあなた自身が自分で考えてこれから何をするべきかを判断してください。では始めましょう。
目次
1章 英会話訓練と英語の勉強の違い
まず1章では英会話訓練と英語の勉強の違い、について解説をしていきましょう。
英会話訓練は膨大な量の英会話実践訓練を経て、「経験」から学びます。英語の初心者が英会話スクールに通ってネイティブ教師と会話練習をするとか、AI英会話アプリを使うとか、海外へ語学留学、ワーキングホリデーみたいなイメージですね。
そして英語学習は英語という言語を書籍を中心に基礎から「理論」で学び、そして会話練習をします。まずは単語を覚えて文法を理解し、リーディングやリスニング、ライティングにスピーキングと4技能を鍛えます。英検やTOEICの資格も取れます。黒坂の提唱する英語多読メソッドもこちらですね。
そう、今の話を聞いてもらってわかったと思いますが、両者とも最終的には「英会話」に行き着きます。違うのは英語を話すことで英会話力を高めるか?それとも地味に勉強をして土台を作ってから英会話を練習するか?というプロセスの違いです。
初心者から見ると両者は「英語を話す」という点ではまったく同じですし、実際に「英語を話す」というだけでいいなら英会話実践訓練の方が速く身につきます。なので、世の中の大多数の人はこう考えます。「自分は英語を話したいのだから、手っ取り早く最初から英会話をする方が最短距離だ」とか「自分は年を取っているし頭が悪いから、理論ではなく経験で学ぶほうが楽しくできて続けられそう」と。まあ気持ちはわかります。
でも不思議じゃありませんか?みんな英会話訓練からやるのが合理的と考えてスタートするのに、なぜ英語ができる人はほとんどいないのか?ここ、まさにここが鍵なんですよ。この成功者がほぼいないという状況証拠こそが、実際は英会話訓練から始めることは合理的ではないという証明そのものです。
さて、ここまでの話で英会話訓練と英語の勉強をすることの違いがわかったところで、今度は英語学習初心者からは見えないけど上級者からはよく見えている「英会話訓練から始めることの最大の欠点」について2章で解説していきます。
2章 英会話重視の致命的な4つの欠点
ではいよいよこの動画の本題である、第2章では英会話実践訓練をした人は、明確な欠点を4つも抱えるということについてお話をします。
1.語彙力が身につかない
英会話重視の致命的な欠点1つ目は、語彙力が身につかない。
英会話は自分がすでに知っている単語やフレーズを使い回すことが多く、新しい単語に触れる機会が限られる。その結果、語彙の幅が広がらず、シンプルな表現に頼りがちになってしまう。
複数の語彙研究者によって作られたNew General Service List(NGSL)によると、日常英会話の90%をカバーしている単語数はたったの700語、2800語で95%をカバーできるとされています。日本の中学校卒業時には英単語を1,500語程度、高校卒業時には約3,000語を学習していると言われますから実は簡単な日常会話や観光英語レベルでいいなら膨大な語彙力は必要ありません。
そして英会話は即興性で話すことが求められるので、言いたいことを簡単な単語で伝える癖がつきます。英会話に大して語彙力は要らない。簡単な言い方のクセが付く。この2つの要素で語彙力がいつまでも身につかない状態を作ります。
たとえば、「improve」「enhance」「advance」などの適切な語彙を学ばず、「make better」のような簡単かつ抽象的な表現で済ませることが多くなります。これでは、会話の幅が広がらず、洗練された英語を話すことが難しくなります。
より具体的に見ていきましょう。先ほど挙げた「make better」は漠然と良くなったといっていて非常に抽象的です。一方で「improve」は状況の向上、「enhance」は質の向上を意味し、それぞれニュアンスが異なります。たとえばこちらをご覧ください。
I study every day to improve my English skills.(私は英語のスキルを向上させるために毎日勉強しています。)→improveは全体的な「改善・向上」
Watching English movies can enhance your listening skills.(英語の映画を見ることで、リスニングスキルを強化できます。)→enhanceは特定の特徴や要素を強化
Taking this course will help you advance your knowledge of science.(このコースを受講することで、科学の知識をより深めることができます。)→advanceは「より高度なレベルに進む」というニュアンス
Everyday practice makes my English better.(毎日の練習は私の英語を良くする)
make betterですと、具体的に何がどのように良くなるのかが曖昧で、具体性に欠けますので、”How does it make your skills better?”(どのようにスキルが良くなるのですか?)または、”What specific improvements does it make?”(具体的にどんな改善がある?)と相手に負担をかけて本来は必要なかったムダに追加質問をさせ、話者は語彙力が身につかないです。
語彙を効果的に増やすには、リーディングやリスニングを通じて新しい単語や表現に触れ、それを意識的に使う訓練をすることが重要です。しかし、英会話の実践訓練に頼りすぎると、このような語彙の強化が疎かになり、結果として表現力に乏しい英語しか話せなくなります。
2.英語で仕事ができない
英会話重視の致命的な欠点2つ目は、英語で仕事ができない。
英会話の実践訓練を重視する学習法は、日常会話レベルのやり取りがほとんどになります。ですが、日常会話とビジネス英語は同じ英語でも全く違います。これは日本語で考えるとすぐ分かる話で、友達同士のバカ話や盛り上げ上手でも、敬語やビジネスライティングができなければまったく仕事になりません。
そして仕事で求められる高度なコミュニケーション能力は日常会話だけでは身につけられません。これは過去動画で何度も話していることですが、アメリカの大学では就活に備えて、ビジネスライティングやビジネスプレゼンなど型にはまった話し方や文章の書き方を学びます。実際に黒坂が留学中、その講義を履修して必死に訓練をしましたが、たくさんの現地のアメリカ人の学生が一生懸命勉強をしていました。
ネイティブでも座学として学び、訓練してから就活をします。ビジネスメールの作成、プレゼンテーション、論理的な議論、専門用語を用いた説明など、仕事で使うビジネス英語を単なる英会話の反復練習だけでは習得が難しいといえるでしょう。
日常英語はそれなりにできて、非常に簡単な会話や文章はわかるけど、仕事では全く役に立たない人のことを「英語屋さん」とか「エセバイリンガル」と呼ぶ人もいます。
その一方で英語の勉強をする上で、たとえば英検準1級、1級ではこうした型にはまった英作文や英語ナレーション、スピーチ問題が出てきますし、ビジネス英語に特化した素材を使うことで仕事で通用する英語力を身につけることができます。
3.伸び悩む
英会話重視の致命的な欠点3つ目は、伸び悩む。
英会話実践訓練は、慣れれば簡単な会話なら流暢に話せるようになります。初心者から見ると「英語ペラペラでカッコいい」と感じられると思います。しかし、当の本人は周囲の初心者が称賛するような感覚がありません。彼らは非常に幅の狭い同じ表現を何年も繰り返し使っているに過ぎず、会話表現のバリエーションが陳腐で、英単語も英熟語も清聴がありません。
そうなってしまう理由として、基礎的な文法や語彙の習得が不十分なまま会話を繰り返すだけで成長がないからです。こうした人達は元々、リーディングやリスニング、語彙力増強や英文法の勉強といった地味で派手さのない勉強から逃避して会話偏重の訓練を始めてしまったので、今さら地味な積み上げなんてやろうとは思わない。成長を諦め、難しい会話は無言でやり過ごし、動画やテレビからのインプットも難しくてわからないのでやらないという選択をし続けます。
このインプット不足が継続することで、新しい表現や知識がまったく増えず、ある一定のレベルに達した後は10年、20年経っても永遠に同じ場所で停滞し続けるということが起きます。
その一方で英語の勉強をすると、継続する限りずっと成長し続けることになります。たとえば英検の上位級の合格を目指すとか、日々の情報収集を英字新聞や英語ニュースの多読多聴をする習慣を作るだけでも、語彙力や表現力はずっと成長し続けますよね。また、英会話をする際には日々のインプットした知識を反映させたり、英会話訓練にNHKラジオのビジネス英会話などハイレベルな素材を使うことでずっとレベルアップをし続けることができます。
これは日本語でも同じことが言えますよね。10年、20年変わらないズッ友とバカ話を続けただけの人と、読書習慣や高度な知的作業の仕事をする中で知識を積み上げ続けた人とでは、語彙力や表現力は全くレベルが違います。
4.時間とコストの効率が悪い
英会話重視の致命的な欠点4つ目は、時間とコストの効率が悪い。
先ほどお話しした通り、英会話訓練を通じて英語力をつけようとすると、会話経験からしか伸ばすことはできません。これだけ聞くと「頭を使う必要がないから楽で近道」と感じますが、実際にはまったく逆でコスト高で時間効率も非常に悪くなります。
英会話の経験から学ぶとなると、最初の方は確かに成長しやすいです。しかし、単なる「会話の練習」だけでは、リーディングやライティング、専門的な英語力の向上にはつながりませんし、会話に投資した時間や費用に見合う成果が得られなくなっていきます。超初心者の頃は1時間投資したら、ちゃんと1時間訓練した分のリターンがスキルとなって返ってきますが、一旦、日常会話に慣れてしまうと、その後はたとえ何百、何千時間同じような会話をしてもすでに十分できる会話をなぞるだけでまったく伸びません。たとえると一生九九の表を反復するようなもので英会話力を伸ばす、という観点で考えても非効率極まりないです。
そして今の話はあくまで日本国内のスキマ時間での話に過ぎません。これが仕事をやめて海外へ語学留学とかワーキングホリデーということになると、本当にもうとてつもないコストになります。単に現地の滞在費やプログラム参加費に留まりません。語学留学やワーキングホリデーにいくほとんどの人は20代の若い時期になりますが、本来、この20代という若い貴重な時間を、仕事や勉強など他のことに使う方が遥かにリターンが大きかったはずです。その機会費用という莫大なコストを支払って、非常に伸びしろの低い訓練のために使ってしまうのは本当にもったいないです。
黒坂の知っている人の中には、せっかくいい企業に就職してキャリアを蓄積していたのに、20代後半で仕事をやめて付き合っていた恋人と別れて英会話のために海外にいった人がいます。彼女は帰国時に30代になり、その後は正社員につけず、非正規雇用になって婚期も逃した。それでいて肝心の英語力はほぼまったく身につかなかったので、ただただ貴重な若い時期をドブに捨ててしまった!と激しく後悔していました。ちなみにこの女性とはコールセンター時代に会いました。
一方で英語の勉強は独学でできます。黒坂の英語多読受講生も忙しい会社員、子育てに追われる主婦の方がほとんどで、彼ら彼女らは仕事のキャリアは子供との時間もしっかり確保しつつ、傍らで英語力を伸ばしてしますから、英語のために長期海外に出てその間できたであろう莫大な機会費用と支払う必要がありません。仕事も子供との時間も、そして英語も全部を手に入れることができますから、英語は地味な勉強を積み上げるのが最も合理的な選択と言えます。
3章 伸び悩む英会話訓練の治療法
さて、最後の章では伸び悩む英会話訓練の治療法について解説します。
結論からいうとまず勉強、そして英会話という2ステップです。つまり、黒坂がこれまで何年もいい続けてきたことが答えということですね。繰り返しですが、英会話実践訓練は訓練して経験したことは身につきます。ですが、あくまで自分が経験したこと以上は学べません。そして英会話の問題点は経験できる範囲が非常に狭いので、すぐに伸び悩みそれでは仕事では役に立ちませんし、近道のようで実は時間もコストも莫大でまったくリターンが見合わないという結論でしたね。
以上を踏まえると、まずは基礎を学び、英語4技能を学んで最後に英会話の訓練に入るステップが一番低コスト、近道かつ、再現性も高いということです。つまり、ほとんどの人が面倒くさがって、遠回りを嫌がって避けていた「最初に勉強をする」ということが答えということですね。
英会話訓練しかせずに英語を話せる様になった人と、最初に勉強をしてから英会話をした人とでは「英語を話せる」という結果は同じです。しかし、違うのは話せるようになってからです。勉強をしてから英会話を訓練した人は莫大な語彙力や表現力を持っていますから、慣れてくると会話のバリエーションも自然に拡大していきます。また、最初に勉強をしていますので日々英語ニュースを多読多聴してドンドンインプットをして成長していますから、読む聞くというインプットも伸びますし、自然に書く話すというアウトプットにもそのレベルは反映されます。
結局、勉強の王道は基礎であり、基礎を飛ばすと必ず伸び悩みます。それは英語だけでなく、ダイエットでも筋トレでもプログラミング学習でも全てについて同じです。
さて、今回は以上です。英会話訓練からスタートして、10年、20年経っても伸び悩んだ結果、初心に帰って英語を勉強するという人をたくさん見てきました。黒坂の英語多読の受講生の中には、外国人と結婚して海外に10年以上住んでいるという人がいます。彼ら彼女らは日常会話や買い物では何も困らないのですが、英語で仕事ができなかったり、外国人の配偶者の友達が来ても込み入った会話で一言も話せなかったりと苦悩した結果、多読でブラッシュアップしますということでやり直しをされる方は本当に多いです。なので、英会話からスタートしても結局勉強をやり直すなら最初から勉強をしてやり直す必要がない状態を作ってから会話をした方が効率的だったよね、伸び悩み期間苦しむ必要はなかったよねということになります。
黒坂が2018年に英語の書籍を商業出版して、英語を教えるようになってから今年で7年です。この7年間、一貫してずっと同じ主張をしてきたのは、まさにこの動画で主張していることそのものです。英語の王道からは誰も逃げられません。英語力を身につけるには絶対的に勉強することが必要です。逃げても後でやり直すことになります。そして今から勉強する人はとてもラッキーです。なぜならこの動画を見て最初から地道に勉強することが最も近道を理解できてムダな遠回りをせずに済むからです。
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