オレだ。
英検1級についての参考書やテキストは世の中に山ほどある。中には「英検1級」という文言がテキストに入っていなくても「この書籍は実質英検1級対策になる有益なもの」としておすすめされていたり、逆に英検1級という名称が入っているのに使ってもスコアアップにつながらないおすすめできない品質のものもある。もしもあなたが「現在英検1級に合格したくて勉強を頑張っている人」かもしくは「まだそのレベルにはないけどいつかは合格したい」と思っているなら、この記事はかなり有益だと思う。
黒坂自身が英検1級に合格済で、現在進行系でオンラインスクールの受講生で1級合格者を出し続けているので、その経験と知識を総動員して解説する。ぶっちゃけ、合格に必要/不要なテキストを12冊分析したので、その結果をこの記事で全部出して行きたい。さすがに世の中にあるすべての英検1級対策テキストは調べきれていないけど、Amazonや書店でよく売れている人気シリーズばかりを取り上げたので、あなたの気になる一冊が必ずあるはず。
この記事では
・絶対に買うべきテキスト
・余力あれば買うべきテキスト
・買わなくてもいいテキスト
というカテゴリに分類して順番に解説したい。忖度なし本音全開で話していくので、もしも出版社さんからクレームが来たらごめん。それから英検1級については過去の記事で一発合格に必要な勉強法や、ほぼ満点で合格した受講生へ勉強法をインタビューしたもの、またたった7ヶ月で一発合格した時のインタビュー記事なんかもあるので、ぜひ参考にしてもらいたい。
目次
絶対に買うべきテキスト
1.英検1級 過去6回全問題集(旺文社)
結論、この本は一番重要度の高いと思ってくれ。英検に限らず、簿記資格でもITパスポートでも大学入試でも全国統一ハンター試験でも、試験と名の付くものは「傾向と対策がすべて」といっても過言ではない。逆に言えば、傾向と対策なしでは受かるものも受からない。
英検1級は時間との戦いになるので、効率的、戦略的に問題を解いてムダな時間を作らず全セクションまんべんなくスコアをかき集める作業が必要になる。その上で過去問は答えと解説を覚えてしまうくらいに、何度も繰り返し解くべき。黒坂が英検1級合格した時も、それから現在はスクールで受講生を1級合格させているけど、その上でもとにかく過去問を繰り返し解こうと伝えている。
ちなみに英検1級過去問の最大の価値は、答えだけでなく解説がついていること。問題を解いて◯がついて終わりにするのではなく、なぜ他の選択肢が間違いなのか?というところまでやり込むべき。
過去問に取り組むタイミングとしては、文単とパス単が終わったタイミングがおすすめ。これ以上深掘りすると話が長くなりすぎるので、詳細は過去記事の英検1級対策を参照してくれ。
2.英検1級 文で覚える単熟語 4訂版【音声アプリ対応】(旺文社)
次は文で覚える単熟語、通称「文単」。長らく第3版だったのだが、2022年7月8日に満を持して新しく第4版が出たのがこちら。黒坂は第3版も4版も両方持っているけど、3つの変更点があって、「Kindle版が出てスマホやPCで見ることができる」「音声がCDからダウンロード・アプリで入手可能になった」「問題の収録内容を変更」。
このテキストは長文を通じて、1級レベルの英単語力、リーディング力、リスニング力を鍛えることができる点で絶対に持っておくべき1冊。というか英検1級の対策をする上では、最初にやるべきはこの文単というくらい重要。
3.英検1級 でる順パス単 5訂版【音声アプリ対応】(旺文社)
次はでる順パス単、通称・パス単というスパゲティみたいな名前のテキストを解説する。結論としてこのテキストも絶対に必要。英検1級は英単語の暗記に始まり、英単語の暗記に終わるというくらい語彙力が必要になる試験。その上でパス単、文単、そして過去問の3冊分をカバーできれば合格につながる。実際、これまでサポートしてきた過去の受講生はこの3冊分をマスターして合格できているので、その実績を踏まえても断言できる。逆に言えば、過去問と文単だけでは足りないので、必ずこのパス単も買って勉強してほしい。
その際、勉強する順番はまずは文単でその後にパス単をやってくれ。その理由についての詳細は過去記事参照ということで。
4.最短合格! 英検1級 英作文問題完全制覇(ジャパンタイムズ出版)
次は英作文対策のテキスト。これも合格を目指す上で必須アイテム。「英作文」と聞くと、英語のライティング力さえあれば合格できる、みたいなイメージを持ってしまいがちだけど実際には全然違う。もちろん、英単語や英文法の知識、フレーズなんかも必須になるけど、それ以上に「自分の意見」を即興で書く力も必要になる。つまり、英作文突破のカギは「英語ライティング力&自分の意見を即興で出す力」が必要になるってこと。自分の意見を即興で出すには、訓練が必要になる。日本語でも「日本で女性リーダーが少ないのは問題か?」「TVの時代は終わったのか?」といったテーマで意見言ってみろと言われても、論理的に明確な根拠を付けて書ける人はほとんどいない。
英語ライティング力は基礎力がある状態で、書く訓練を続けて模範解答に近づけていけば誰でも上達する。でも自分の意見を即興で出す訓練はこのテキストを使ってたくさんしてもらう必要がある。なので購入してほしい。
5.英検1級 面接大特訓(Jリサーチ出版)
その次は面接大特訓。英検1級はスピーチ問題があり、与えられたテーマに対してその場で自分の意見を英語で話す必要がある。これは英作文とほぼ同じだけど、スピーチ問題は英語のスピーキング力だけでなく、英語で自分の意見を出す力が求められる。ぶっちゃけ、過去問だけでは分量が足りないので、このテキストを買って訓練をしてほしい。
・余力あれば買うべきテキスト
6.速読速聴・英単語 Advanced 1100 ver.5(Z会)
これはとても評判の高い人気シリーズの書籍で、自分も過去に英検1級合格を目指す過程で勉強をするのに使ったことがある。政治・国際・医療・経済などいかにも英検1級で取り上げられそうなテーマを、英単語力、リーディング、リスニング力をアップしながら学べる一冊。使い方や性質は文単に近い。正直、この本を完全にマスターするまでやり込めば、1級合格にかなり近づくのは間違いない。テキストもコンパクトで使いやすいと思う。「これがないと1級合格はできない」とまではいかないけど、「余力があればぜひやってもらいたい」と思える一冊。must to haveではなくnice to haveという感じ。
7.英検1級語彙・イディオム問題500(旺文社)
英検1級の語彙を実際の問題形式を通じて覚えられる本。パス単は実際に出題される可能性が高い、英単語を頻出順に覚えられるので効率的かもしれないけど、ちょっと無味乾燥と言うか退屈さを感じる人もいると思う。その点、問題形式で出題されれば、集中しながら本試験を解く要領で問題を解く過程で英単語を覚えられる。しかも、この本は単語の用法などの詳しい解説も載っているし、正解となる英単語以外も一緒に暗記できる。
買わないと合格できないとまでは言わないけど、英単語力に自信がない人にはおすすめの一冊。
8.英検1級 長文読解問題120(旺文社)
これは余力があれば、ってことでおすすめしたい。このテキストを一言でいえば、英検1級の過去問のリーディング問題を抜粋したものという感じ。発売されたのが2007年とかなり古いので、「今手元にあるテキストをやり尽くしてしまったけど、さらにリーディング問題をモリモリ解いて力を付けたい」という人にはありだと思う。
ただ、個人的には英検1級は過去問と文単を極めるまでやれば、このテキストを買わないと合格できないということはないと思う。このテキストはたしかに頑張ればリーディング力がつくし、読む過程で英単語力もアップするけど試験合格に直結するか?と問われると答えは怪しい。
9.英検1級リスニング問題150 (英検分野別ターゲット)(旺文社)
言いたいことは先程の長文読解問題120とほとんど同じで、そのリスニングバージョンってだけ。こちらも2006年発売とかなり古いので、直近発売されたテキストをやり尽くしてさらに問題を解きたいと思う人向け。
ただ、よくわからない会社の出題されるかどうか分からないリスニング問題を買って解くより、このテキストを使った方がリスニングパートで高得点につながると思う。英検1級のリスニングは付け焼き刃では通用しないので、こうしたテキストも悪くはないけど英語ニュースを素材にしてたくさんリスニングする習慣を付けた方がメリットがあるかもと感じる。
10.最短合格! 英検1級 リスニング問題 完全制覇 (英検最短合格シリーズ) (ジャパンタイムズ出版)
過去問を分析し、出題傾向を意識して150問を超えるオリジナル問題を収録した一冊。「オリジナル問題を収録した旺文社のテキストの方が絶対いいでしょ?」と思われるかもしれないけど、個人的にこのテキストのメリットは攻略法がめちゃめちゃ有益ってこと。たとえば、英検1級と準1級の問題の違いとか、リスニングで聞き取れない時の理由や対処法なんかも攻略してくれる。
問題の質も高いので、「リスニングの問題を解くだけでなく、困った時の助言も欲しい」という人には旺文社のものよりおすすめかもしれない。
買わなくてもいいテキスト
11.英検1級総合対策教本 改訂版[新試験対応]【CD2枚付】(旺文社)
出版社によると、「申し込み方法や受験の流れ、受験者の悩みに答えるQ&Aなど、英検情報を豊富に収録しています。」ということで、教本と名の付いている通りガイドブック的なテキスト。結論、個人的にこのテキストは買う必要はないと思う。
理由は試験の申込み方法とか、受験の流れはググったら出てくるし受験生の悩みに答えるQ&AとかはブログやYouTubeでいくらでも出てくる。さらにこうした情報を知ったところで、英検1級合格に近づくか?というと答えはNOだと思う。英検1級合格に必要なのは、文字通り英語力アップと、試験の傾向と対策を理解してひたすらその練習を繰り返しすることなので、教本的なテキストは不要だと思う。
12.DAILY30日間 英検1級集中ゼミ 新試験対応版【CD付】(旺文社)
このテキストは、1日の学習時間は30分程度で、30日間で一通り英検1級試験をなぞりましょう的なもの。その他、問題の解き方のテクニックなども紹介されていて、「やっておくと安心」とか「これだけやっておけばいいというのがわかりやすい」など、反応が結構いい印象。
だけど個人的にはこれは無理に買う必要がないと思う。理由は簡単で、まず1日30分の勉強を30日間やったところで合格できるほど甘い試験じゃないから。つまり、テキストの案内通りやって、初心者が合格できるわけではないってこと。英検1級は学ぶべき範囲が膨大で、戦略的、効率的に進めていく必要がある大型の試験。英検準1級合格者だと、早くて半年から1年、長いと2年越しで合格する人が大半なので、「1日30分の勉強で30日」という計画は端から無理があってあまり参考にならないかなという印象。
今回は以上だ。まずは優先的に「絶対に買うべきテキスト」の5冊を買って勉強してみて、その上で「自分はリスニングが足りない」と思うなら、追加で「余力あれば買うべきテキスト」の中からリスニング力をアップできるものを選ぶ、みたいな使い方をしてもらうといいと思う。あなたの一発合格を祈っている。ほなまた!
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