51歳、夜間トラック運転手が独学NHKラジオ英会話で米国大学を卒業した話

今回の紹介する話はすごいですよ。なんと、51歳の夜間トラックドライバーの田中さんは偶然にNHKラジオ英会話と出会ったのがきっかけで、英語を猛勉強の末にアメリカのメリーランド大学に入学し、その後無事に卒業したという話です。ええー？そんなこと普通あり得る？にわかには信じがたい話ですが、これ実話です。

田中さんは元々、勉強がすごくできたわけではなく、学生時代にパチンコにハマって日本の大学を中退したというエピソードを持っています。一日の大半の時間をトラックの中で運転する時間を過ごす中、どうやって英語の勉強をしたのか？

この動画を見ることで、英語学習や英会話の上達に必要な本質を学べるだけでなく、人生に遅すぎることはないとやる気が高まること間違いありませんのでぜひ最後まで見ていってください。

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1章 NHKラジオ英会話との運命の出会い

田中さんが42歳の時、地元の青森県で運送会社に就職、深夜配送の大型10トントラックドライバーとして働き始めました。ご存知の方もいるかもしれませんが、トラックドライバーは拘束時間も長く、一日の大半を運転して過ごします。そんなドライバーとして働く田中さんのお楽しみ、それが運転しながら聞くラジオなんですね。

ところがトラックが山奥に入ると、電波が届きませんから楽しんで聞いていたラジオ番組が聞こえなくなってしまいます。うわー、聞きたかったのに困るよー。仕事中、唯一の楽しみがなくなってしまうわけですが、諦めきれずガチャガチャとラジオ番組を切り替えていると唯一、1つだけ山奥でも流れてきた番組がありました。それがNHKラジオ英会話だったんですよ。この時の田中さん、別に英語に興味があったわけではないですが、無音のまま運転するよりはマシかなとBGM代わりにそのまま番組を聞いていました。番組はドラマ形式に英会話が進行しますが、英語力がないので当然何をいっているかさっぱりわかりません。でも、英会話の後に日本語の解説がありますので「まあ他にやることもないしな」とぼんやりと聞き流していました。

すると数分後、田中さんにまさかの異変が訪れます。「あれ？オレなんで泣いているんだ？」そう、気がつけば田中さんはドバドバと滂沱の涙があふれるのを止めることができませんでした。一体何があったのか？　実は彼、NHKラジオ英会話の物語に心を鷲掴みにされていました。え？なにそれどんな話？

その物語はある家族の話。お父さんとお母さんが子供のクリスマスプレゼントに何をあげたらいいか考えていました。両親は話し合いの結果、子供に猫をプレゼントすることに決定。けれども、ここである問題が発生します。実はこの家族にはすでに。 ペットのワンちゃんがいました。そのワンちゃんは「この家には僕がいるのに、なんで猫なんかプレゼントするんだ」と言わんばかりにクンクン泣き出してしまいました。

この放送を聞いていた田中さんは「なんてかわいそうなワンちゃんなんだ」と、犬の気持ちを思って気づくと涙が溢れていました。この田中さん、物語を聞きながら自分の幼少時代を思い出して自分の体験に重ね合わせて感動してしまったということです。物語はここで終了、でも田中さんの気持ちはその先の世界を想像していました。あのワンちゃんや家族はどうなるのか？早く続きを知りたい！そう思うようになりました。

人生を変えたケイティ先生との出会い

感動した田中さんは「NHKの番組に英語で感謝の気持ちを伝えたい！」と思ってなんと翻訳機を購入しました。そしてお便りコーナーなんてないのに、勝手に感謝のメールを英語で番組に送ります。そう、田中さんは気持ちを抑えられなくなってしまったのです。普通そこまでする？彼の情熱っぷりが伺えますよね？

そして田中さんはそれだけでなく、次の行動に出ます。なんと、番組に出演されていた外国人講師のケイティーさんのFacebookページを探し出して、情熱的にメッセージを送り続けます。でも残念ながら一向に返事がありません。そこで田中さんは「やっぱり翻訳機なんか使ったダメだ、ちゃんと英語を勉強して自分の言葉で伝えたい」と考えるようになります。そしてこの思いが後ほど彼の人生を大きく変えることになります。

そこから田中さんは人生初の英語の勉強をスタートします。しかし、日々トラックの仕事で忙しくてスクールに通ったり、机に向かって勉強なんてする暇はありません。普通、無理だと思いますよね？でも彼はそんなところで諦める人ではないんですよ。

彼は運転しながらでもできる特訓方法を独自に編み出していきます。え？どうやって？　その1つが洋画などの英語のセリフを丸暗記作戦です。とにかく映画のセリフを丸暗記して声に出すことで、単語や文法を丸ごと体に染み込ませようという考えです。

独学で英語スクリプト丸暗記勉強法で英語力を伸ばした後、田中さんはさらに実践的な英語を身につけようと、観光で訪れている外国人を見つけては勝手に話しかけて、道案内をして英語力を伸ばします。なにそれ、何という行動力！

独学で英語を続けていた田中さんですが、ある日、運命を変える出会いを果たします。いつも通り、仕事を終えて何気なく自分のパソコンメールを開いた瞬間、びっくりして腰を抜かします。なんと、以前にメールをしたあのケイティーさんから返事が返ってきました。震える手でマウスでクリックするとケイティーさんから返信が次のように書いていました。「あなたの情熱に感動しました。ぜひ直接英会話レッスンをしましょう」と。ウソだろ？ところがどっこい夢じゃありません。ケイティーさんは田中さんに限らず、たまにリスナーの方からの番組への反応があるそうですが、基本的に個別に連絡は取っていませんでした。しかし、田中さんは他のリスナーと違いました。その違いはメールの文面からひしひしと伝わってきました。

この田中さんという男性は、本当にワクワクしながら英語学習している。メールの文面からにじみ出ていた英語への情熱がケイティさんの心を揺さぶり、個人的に連絡を取り合うようになったと言います。

それからケイティさんとオンラインで直接英語のレッスンを受けることになった田中さん。英語学習を努力し、ケイティさんのおかげもあってメキメキと英語が上達していったといいます。ケイティさんのレッスンのおかげで、彼は上級者まで上達していきました。

猛勉強の末にアメリカの大学を卒業

ケイティーさんのおかげで英語が上達した田中さん、「今なら自分の英語が通用するはずだ」と、再びNHKへハガキを送り始めます。そうでした。彼の目標はNHKへ英語でお礼を伝えたいということでしたよね。そしていつしか彼は「自分の感謝の気持ちを伝えたい」ということから、「日本を世界に知ってもらいたい」という動機に移り変わっており、同じNHKでもNHK国際放送の全編英語で放送している番組に送りました。驚くべきは7年間、送り続けて合わせて40回以上も番組内で紹介されたということです。すごくないですか？

そしてある日、驚きの展開となります。NHK国際放送から連絡があり、「NHK開局80周年の特別番組で、各国を代表する著名人を招きインタビュー番組をやります。ぜひ日本のリスナー代表は田中さんに」と日本代表の一人に選ばれました。そのイベントでは世界の著名人な方も出てました。青色発光ダイオードでノーベル賞を受賞した研究者三名と並ぶ田中さん。

このとんでもない経験を経て田中さんの胸の中に次なる衝動が生まれます。ここまで伸ばした英語を使ってもう一度大学生になりたい。かつてはパチンコにハマって日本の大学を中退してしまったが、今こそ勉強をしたい。そしてせっかくならアメリカの大学へ、と。でも田中さんには仕事がありますからいきなり留学はできません。そこで青森県の三沢基地内でも講義を受けられるアメリカのメリーランド大学を目標にします。受験には英検準一級などの関門クリアが必須なのですが、仕事以外の時間はすべて英語に費やして一年後見事に51歳にして合格。そして去年2024年に無事に卒業を果たします。

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2章 田中さんから英語学習者が学べること

さて、これまでの田中さんのストーリーを聞いて、英語学習者は彼から何が学べるでしょうか？ここからは黒坂の視点で解説をしていきましょう。

1.圧倒的な情熱の強さ

田中さんから学べること1つ目は、圧倒的な情熱の強さです。

とにかく最後まで走り切る人は情熱の力が違うということですね。彼のストーリーを見ると、全部が情熱的ですさまじい熱量を感じます。普通、NHKラジオ英会話の物語に感動したからといって、「何が何でも英語で感謝を伝えたい。そのために英語を勉強する」とはならないと思います。わざわざ番組出演者にFacebookでメッセージも送らないし、7年間手紙職人も普通無理です。

でも田中さんはその時々で絶対に実現するぞ！という圧倒的な情熱の力で普通の人ができないことを次々と実現させていきました。よく言われる「こうやったら英語のやる気が出る」みたいなモチベーションアップの話がありますが、そんな小手先のちっぽけなもので年単位で勉強を続けるのは簡単ではないです。しかも田中さんは机に向かって勉強がしづらい深夜のトラック運転手、それでも彼は運転しながら勉強する方法を考え出しそしてアメリカの大学卒をもぎ取っているのですから本当にすごいと思います。

2.丸暗記勉強法の強さ

田中さんから学べること2つ目は、丸暗記勉強法の強さです。

田中さんは運転しながら英語を勉強するほかはありませんでしたから、英語のスクリプトを丸暗記という独自の勉強法を編み出して運転しながら英語力を伸ばしていきました。普通、英語の勉強をするということになると、発音も会話も単語も文法も同時並行で、みたいになりますよね。でもお膳立てされて体系化された勉強をほとんどの人は継続できずに挫折していきます。

黒坂がいつも提唱していますよね？「英語学習初心者は、いきなり英文法や会話からせずまずは丸ごと英語長文を繰り返し読んで、単語を覚えよう」という繰り返し読む勉強法を。これも英文丸ごとを暗記するまで繰り返してインプット、という点では全く同じです。そうすることで、英語長文インプットの過程で英単語、英熟語、文法、リスニングなど1粒で何度もおいしい。

その後いざ英文法を勉強する上でも、すでに頭の中に単語や文法がそのままインプットされているので、いきなり英文法を勉強するより圧倒的に頭に入りやすいです。繰り返し英文丸ごとインプットはやっぱり最強ですね。

3.年齢で諦めない

田中さんから学べること3つ目は、年齢で諦めないです。

田中さんは仕事を続けながら、51歳という年齢でアメリカの大学入学を目指しそして合格を勝ち取っています。99％の人はこの話を聞いて「いや、その年はもう遅すぎない？」とか「もう頭に入らないのでは？」みたいに「できない理由」を探して行動しない理由を自作します。でも繰り返しいい続けてきた通り、人間の脳は記憶力や計算能力など、能力によってピークが訪れる年齢はバラバラですし、こと英語学習という分野は物理学や数学に比べてより年齢の影響を受けづらいどころか、むしろ語彙力は年を取る方が有利ですらあります。年齢への思い込み、高齢で大学進学を目指すことへの偏見をはねのけ、自分の思いを実現させた田中さんは本当に素晴らしいと思いますし、口を開けばすぐに「もう遅い」と年齢ばかり気にしてしまう学習者が見習える点は多いはずです。

本来、人間の意欲というのは合理性とかリターンとは関係ありません。他の人がなんと言おうとも、自分は行きたいと思ったから行く、好きだから手に入れたい、このくらい欲求に忠実な方が本当の意味で自分の人生を生きるということだと思います。人間は経験から学ぶ生き物で、一度身につけた経験や知識によって生きやすくなることも多いです。その一方で、逆に経験や知識のせいで行動をする前に短期的なリターンや周囲の目ばかり気にして、やってみないとわからないことなのに「もう遅い」とやらずじまいであとから後悔することを繰り返す人は多いです。小利口さを目指して一周回ってアホになってるという話。

つまり、人生経験はあればあるほどいいのではなく、むしろ向こう見ずであまり良くわからない内にやってしまう方が良いこともあるということです。話それますが、黒坂はメリットとか合理性とか考えるようになる前に好きだから今の妻と結婚し、元々世話好きなので子供を作りましたし、起業に興味があったから独立しました。でも今の黒坂が結婚、子供、起業を考えるとやっぱりあれこれ考えすぎて、どうしても昔ほどは行動できなかったかなと思います。やりたい、ほしいと思ったものはあれこれ考えすぎるほど手に入りにくくなるので、多少非効率でも失敗してもいいから欲しい気持ちが熱い内にさっさとフルコミットしてもうやめられないところまでいってしまうのがいいと思います。

あなたは今回の話から何を教訓として学んだでしょうか？人生に遅すぎることはない。今回は深夜のトラックドライバー田中さんの人生から学ぶことができたはずです。では今回はこのへんで。最後まで聞いてくれてありがとう。ほなまた。