「英検2級まではそうでもなかったのに、準1級、1級のリスニングはいきなり難しくなった!」そう感じる人はめちゃめちゃ多いハズ。これは決してあなた一人が感じていることではなく、実際に問題は難しくなっているんですよね。そしてその原因を知らないまま、漫然と対策としてもなかなかリスニングが伸びません。どう勉強して対策をすればいいかわからず、悩んでいる人も多いです。
そこでこの動画では英検準1級、1級のリスニングの難易度が下位級に比べて跳ね上がる6つの理由と、勉強法と解き方のコツ、それからついでに駄菓子屋で売られている謎のヨーグルトの原材料について解説をします。
英検の試験会場でリスニングが全然聞き取れず、死んだ魚の目で「45年間必死に生きてきた結果が…これなのか?」と人生を絶望するのはもう止めにしませんか?大丈夫、この動画であなたのリスニング伸び悩みを解消していきましょう。では始めます!
目次
1章 英検準1級/1級のリスニングが難しい6つの理由
さて、では1章では英検準1級/1級のリスニングが鬼のように難しい6つの理由について1つずつ解説をしていきます。
理由1.英単語、英熟語が難しい
英検の上位級リスニングが難しい理由1つ目は、英単語、英熟語が難しいからです。
当然ですが2級までと比べて、英検準1級、1級はリスニング問題に出題される単語や熟語が難しいです。では具体的にどのくらい難しいか?を実例を見てみましょう。
☆☆:Greg, a bunch of the tiles around the sink are coming loose.
(グレッグ、シンク周りのタイルがいくつか取れかけているよ)
★ :I noticed that. Some of them need to be replaced.
(気づいた。いくつか交換が必要だね)
☆☆:Can you take care of it?
(直してもらえる?)
★ :Yes, but we won’t be able to use the sink for a couple of days.
(うん、でもシンクは数日間使えなくなるよ)
☆☆:We only had the kitchen redone two years ago. It seems too soon for this.
(キッチンは2年前にリフォームしたばかりだよ。こんなに早くまた問題が出るなんて思わなかった)
★ :Well, there’s not really any way to avoid it. It’s probably something we’ll have to deal with every so often.
(うーん、避ける方法があまりない。おそらく定期的に対処しなきゃいけないね)
引用元:英検準1級の2024年度第1回検定のリスニング問題
この問題を見てください。最後の文の「come loose(ゆるむ、外れる)」という難しい熟語ですね。これが英検2級までならbreak(壊れる)という簡単な表現だったはずです。このように表現の幅が広がり、求められる語彙力が高くなっています。
それからもう1つ事例を出しましょう。
Have you settled into your new office yet?(新たなオフィスは、もう落ち着いた?)
これは2020年第3回のリスニング問題からの引用ですが、settleという英単語には「(問題)を解決する」「(場所などで)落ち着く」という意味があってなかなか難しいですね。2級までならrelaxとかcomforatble、satisfyといった比較的わかりやすい単語になるでしょう。
理由2.会話が長く、やり取りが多い
英検の上位級リスニングが難しい理由2つ目は、会話が長く、やり取りが多いからです。
たとえばリスニングのPart.1は2級は「Aさん→Bさん→またAさん→またBさん」で2往復の4会話で終了です。ところが、準1級、1級は「A→B→A→B→A→B」と3往復の6会話、時には7会話と下位級より長くなります。もちろんPart2でも会話や説明は長くなるので難易度が高く感じます。
理由3.パラフレーズを多様
英検の上位級リスニングが難しい理由3つ目は、パラフレーズを多様するからです。は?パラグライダー?いやおじいちゃん、それはスポーツや。パラフレーズについて知らない人も多いと思うので解説をしましょう。
これはどういうことでしょうか?英検2級までは英会話と設問で使われたのと表現や単語が同じ事が多いので、「答えを探す」という姿勢で回答できることが多いです。しかし、英検上位級では英会話で使用された単語やフレーズと、選択肢の単語が違う表現に置き換えられます。そうなると、しっかりと会話内容を理解しないと丸がつかないのです。むしろ、会話と設問の単語が同じ選択肢がひっかけ問題として間違いになる、ということすらあります。たとえると、海外の見知らぬ土地では現地の人より、声をかけてくる日本人にこそ警戒が必要なのと同じです。
理由4.アメリカ英語だけでないから
英検の上位級リスニングが難しい理由4つ目は、アメリカ英語だけでなくイギリス英語のリスニングにも対応しないといけないから。
TOEICはいろんな国のアクセントのリスニング問題が出ることで有名ですが、英検はどうでしょうか?実際に英検公式サイトのリスニング問題を聞いて調べてみました。5級から2級まではアメリカ英語のみですが、準1級、1級にはざっくり80%がアメリカ英語、20%がイギリス英語の割合で複数のアクセントがありました。もしかしたら調べ漏れもあるかもしれませんが、確実に準1級、1級はイギリス英語のリスニングができる状態を作っておかなければいけません。
最近のテキストはアメリカ英語だけでなく、他のアクセントの収録も増えておりまして、たとえば2025年3月発売の速読英単語改訂第8版ではアメリカ英語、イギリス英語の同時収録されています。普段からバランスよく、リスニングに慣れておくと良さそうですね。
理由5.リスニングの問題形式が増える
英検の上位級リスニングが難しい理由5つ目は、リスニングの問題形式が増えるから。
英検2級、準1級、1級それぞれのリスニング問題形式を見てみましょう。画面をご覧ください。

このように、級が上がるにつれて問題形式が多様化して、特に準1級・1級では「Real-Life形式」や「インタビュー形式」といった、より実践的なリスニングスキルを要求される問題が加わります。2級まではリスニング力さえあれば、試験問題に特化した訓練は要らないのですが、準1級、そして1級は試験問題形式を意識してリスニング対策をする必要があります。
理由6.話者の意図や感情を読み取る設問が多い
英検の上位級リスニングが難しい理由6つ目は、話者の意図や感情を読み取る設問が多いから。
英検2級のリスニング問題はWhat is the woman interested in doing?(女性は何に興味がありますか?)とかWhat does the woman tell the man?(女性は男性に何を話しますか?)みたいに、会話の中に出てきた答えを正しく拾えるか?が問われる問題が多いです。だからリスニング問題も「解答の選択肢を先読みして、リスニングしながらその答えを探す」みたいな姿勢で聞くと点数が取れます。その一方で、英検準1級、1級ではそれだけでは足りません。
Why did the woman change her plan?(その女性はなぜ計画を変更したのですか?)とかWhat does the woman imply?(その女性は何を暗示しているのか?)みたいに、話者の発言そのものだけでなく、会話の背後にある意図や感情を推測したり、理解した上で答えを選ぶ必要があります。ですから、純粋な英語力だけではなく、文脈理解力が必要になるので、国語力が足りないコミュ障だと「しらんがな」という5文字を解答用紙に書くことになります。
疑問:英検準1級/1級のリスニングは速いのか?
最後によく言われる、「英検準1級/1級のリスニングは速いから難しい」という巷の噂を検証します。この噂、言っている人めちゃめちゃ多いですよね。参考書にも堂々と「ネイティブスピーカー並の速度」と書いています。この間の日曜日、公園でハトにパンあげてるおじいさんも「2級は三輪車、1級はフェラーリ」と言っていました。…まあウソなんですけど。
結論から先にいうとこれは間違っていると思います。英検の問題を作成している旺文社が出しているデータによると、2級、準1級、1級はざっくり140〜150wpm(Words Per Minute、1分間あたりの単語数)となっていてほぼ差はありません。実際にリスニングを聞き比べても、「2級、準1級、1級はそれぞれ速度がぜんぜん違う」とは感じませんでした。
また、CBS News、CNN Newsは170〜180wpmのニュースが多く、確かに英検よりは速めではありますが、大体20%増しくらいです。英検1級が取れる人は、異文化理解、背景知識が理解を阻害しないニュースを選べば、困難なく聞き取れて理解できます。なので、「ネイティブスピーカー並」とは言えないと思います。
以上のことを踏まえると、英検上位級のリスニングが2級と比べて難しい理由は、パラフレーズの多用、複数のアクセント、設問の複雑さで難易度が高く感じられるのが主要因であって、「英検上位級は速度が速いから難しい」という主張は間違っていると考えます。
2章 英検準1級/1級のリスニング対策のコツ
ここからの2章では英検準1級/1級のリスニング対策のコツについて解説をしていきましょう。
対策1.語彙力増強
リスニング対策1つ目は語彙力増強です。
なんだかんだ言っても、語彙力は英語の勉強をする上で最重要。それはリスニングも同じで、問題の中で1つでもわからない単語が交じると一気に難易度が爆上がりますが、逆に全部単語が分かるならなんとかなるものです。もちろん、上位級は会話の意味を読み取る力が必要ではあるものの、語彙力を鍛えれば確実にスコアアップに反映されます。
そして「語彙力をつけろ」という話をすると「大量の英単語覚えるのしんどいんですけど」とか「もっと即効性のある技はないの?」みたいに反論されることがあるんですけど、寝言は寝ていえといいたいですね。お前のやる気、YouTubeショートかよ。
まず、英単語の暗記は投資した努力量に対して、最も確実、最大限にリターンを返してくれるスキルです。加えて、大人からの脳は若い頃と比べて論理的理解、文脈記憶で覚えると有利になり、年をとっても語彙力は伸び続けるという脳科学のデータも過去動画で何度も見せてきましたよね?
なので牛丼屋の深夜のワンオペバイトくらいやる気をあげて、1つでも多くの語彙力をつけましょう。
対策2.過去問を解いて傾向に慣れる
リスニング対策2つ目は過去問を解いて傾向に慣れるです。
「本質的な英語力があるなら、リスニング試験を正面から戦っても勝てるはず」ということを言う人がいます。これ自体は確かにその通りですし、小手先のテクニックなんかより英語力が必要なのは言うまでもありません。しかし、英検のリスニングは4択問題の資格試験で60年以上の歴史ある試験である以上、傾向と対策がしっかりと通用する世界です。
特に英検1級のインタビュー問題はやっかいです。対策をして試験慣れしておけば合格点を取れる実力者でも、まったく過去問に触れずに突撃すると解き方の勘どころがわからず苦戦してしまうでしょう。
優先度としては、まず英検の過去問のリスニング問題をしっかりと解き、それで足りないなら旺文社から出ている「英検分野別ターゲット英検1級リスニング問題」、そしてZ会のCore1900やAdvanced1100。さらにNHKラジオ英会話や海外英語ニュースという具合に慣れていけばよいです。
対策3.リーディングを伸ばす
リスニング対策3つ目はリーディングを伸ばすです。
「いやいや、黒坂さん。僕私はリーディングではなく、リスニングができなくて困っているんですけど」っていいたい気持ちはよく分かるんですが、大丈夫!納得の行く話をしていきましょう。
これまでたくさんの英語多読受講生を見てきて、リスニングが伸び悩む人はほぼ全員が同じ原因を抱えています。それはリーディングができないということです。厳密に言うと、これは2パターンあります1つ目はゆっくりでも正確に読めないパターン。そしてもう1つはゆっくり正確に読めるが読める速度が遅すぎて、リスニングとなるとあっという間に置いてけぼりなるパターンです。前者はそもそもリスニング以前にリーディングもできませんが、後者は読む速度が上がればリスニングも伸びます。
世の中、リスニングを特別視する人はすごく多いんですけど、実際には情報を目から入れるのがリーディング、耳から入れるのがリスニング、脳内で処理する場所は同じですから、情報源が音と映像と違うだけで英語を処理する回路がポンコツならどっちから入れても理解できません。
こちらの過去動画で解説した通り、リスニングはリーディングより論理的に難易度が高いので、リーディングができないならリスニングはできません。たとえるとリスニングはネイティブの話す速度で強制的に内容が進行するリーディングみたいなもの。リスニングができないからと闇雲に多聴するのではなく、まずリーディングを伸ばしましょう。
【最も効率的】英語4技能「読む/聞く/書く/話す」の正しい勉強の順番(リーディング/リスニング/ライティング/スピーキング)
対策4.英語ニュースの精聴・多聴
リスニング対策4つ目は英語ニュースの精聴・多聴です。
これは対策2で話した過去問を解いて力をつける、というものより優先度は落ちます。英検は資格試験である以上、最も効果が高いのは過去問を使って点数が取れる傾向と対策を徹底すること、これこそが一番合理的です。でも、英語ニュースの精聴・多聴は本質的な英語リスニング力そのものを高めてくれます。そこで過去問やリスニング問題集を解いてやりきった後は、並行して英語ニュースを使った訓練がおすすめです。
「でも世の中には山ほどニュースサイトがあって、どのサイトが今の自分のレベルに合うのかわからない」そのように感じている人はこちらの過去動画を参考にしてみてください。一応、英語多読リーディング素材におすすめ、としていますがサイトによっては英語音声付きなのでリスニング素材としても最適です。
対策5.NHKラジオ英会話訓練
リスニング対策5つ目はNHKラジオ英会話訓練です。
優先度としてはまず過去問を解く。その上でさらにリスニング素材が欲しいけど、ニュースの多聴はハードルが高いと感じる人にはNHKラジオ英会話をおすすめします。NHKラジオ英会話はテクニカルに使って勉強すれば、しっかりと伸ばしていくことができます。しかも月額660円という低コストでハイレベルの授業を受けることができます。
しかし、ここで注意が必要でNHKラジオ英会話を番組内の案内通り受け身で受講しても伸びません。しっかりと負荷をかけて伸びる型にハマった訓練を積み重ねる必要があります。具体的にどうすればいいか?ということについては、こちらの過去動画で詳細を解説しておりますので、よろしければぜひご視聴ください。
【2025年4月最新/初心者向け】独学で英語ペラペラ!「NHKラジオ英会話」効率的な最強の勉強法・完全解説【テキスト/レベル/番組表】
今回は以上です。英検は準1級から一気にリスニングのレベルが跳ね上がるので、戸惑ったり勉強をしても思うように伸びなくて困ってしまう人がいます。でも、この動画で解説した原因と対策を理解してやれば、しっかりと伸ばしていくことができますから、ぜひ何度も見直して参考にしてみてください。
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