オレだ。今回は「努力」にメスを入れたいと思う。とても身近なのに、いざ実践しようとすると難しく、その正体が謎のヴェールに包まれているのが努力だ。世の中は「努力すれば成功するし、まったく努力しなければ負け組待ったなし」みたいな極論が出回っている。英語についても「努力できないヤツはダメ人間」みたいな論調で、とにかく努力すれば世界平和を実現し、英語もTOEIC990点満点が取れ、空も飛べる努力大好き筋肉筋肉ゥ!みたいな暑苦しい体育会系のノリで埋め尽くされている。でも、実はそんな単純なわけあるかドアホというのが黒坂からの持論だ。努力は細かく5段階にレベルわけができる。だから「努力をする・しない」の二元論で考えるのではなく、1つずつ着実に努力レベルを上げていくのが現実的だし、あなたの英語力をアップするために必要な話なんだ。さて早速、結論を話す。次のレベルにわけることができるだろう。
レベル1.意識しないと努力できず、集中力の持続時間も短い。
レベル2.努力が習慣化し始める
レベル3.少しずつ努力の成長が感じられ楽しくなる。
レベル4.受け身な娯楽より努力のが楽しくなる。
レベル5.努力している感覚がなくなる。
英語学習初心者の人ほど、勉強をやり始めの頃に努力できる他人を見て、「自分は努力できないダメ人間だ」と自信を失いがちだけどそれをする必要はない。なぜなら誰しも最初は努力レベル1からスタートするから。英語の勉強を続ける過程で、徐々に努力レベルが1ずつアップしていき、それとともにあなたの英語力も自然にそして着実にアップしていくという流れがある。
この記事を最後まで読むことで、あなたは自分の努力レベルがいくつなのかがハッキリと理解できるとともに、具体的にどうすれば努力できる体質へ変化できるのかがすべて分かるようになっている。時間を使って最後まで見て頂く価値は大いにあると断言させてもらうので、ぜひ最後まで見ていってくれ。
目次
レベル1.意識しないと努力できず、集中力の持続時間も短い
まずは誰しもが通る最初の関門がここだ。該当するのは、英語の勉強を初めて本気で取り組む人とか、昔はやっていたけど10数年ぶりの英語学習を再開する中高年学習者たちだ。こういう人たちは、英語に限らず学生時代から勉強をあまりしてこなかったり、長い間勉強から離れていたので「忙しい日々の中から、時間を確保して勉強をする」ということ自体がかなりキツく感じられてしまうんだ。そりゃ本来、人間は誰しも怠け者だからできれば面倒くさい勉強なんかよりも、ダラダラテレビ見て過ごしたり、おいしい食事をして過ごす方に断然興味がある。だからこそ、努力体質になるためにも一歩一歩訓練が必要なんだ。訓練を積んでいないレベル1の状態だと、友達からのお誘いや、スマホ通知の誘惑にアッサリ敗北して勉強を放り出してしまう。だからなかなか勉強習慣が身につかず、やったりやらなかったりを繰り返しながら、最後はいつもやらずに放置して挫折を繰り返してしまう。
さらに英語の勉強をしようと思って、テキストを開いても1ページごとに知らない英単語、英文法、解説用語のオンパレードに嫌気がさしてしまう。何を見ても知らない、分からないことだらけなのでストレスマッハで今すぐテキストを放り出して「こんなクソゲーじゃなくて、もっと面白いことやりたーい!」という状態。極めつけが英語の勉強法も何をするのが正しいのかがわからないし、良さそうだと思って瞬間的に飛びついた勉強法も「この勉強法で本当に力がついているのかな?」「自分なんかができるのかな?」と途中から1ページめくる毎に疑いの気持ちが生まれるから、継続ができずすぐに断念してしまう。
正直、初心者の英語学習者の7-8割以上はこの段階で挫折する。わからないことに苦痛を感じるし、自分ができるというイメージも自信もないから、「モチベーションアップ」というドーピングを打ちながらじゃないと、毎日勉強なんてとてもできないという状態だ。そして他の学習者を見て「あの人はあんなに頑張っていてすごいな!それに引き換え自分なんてアホボケカス鬱だ死のう」という即死コンボを食らって挫折というのがお決まりのパターンだ。
このレベル1をどう乗り越えるか?の結論としては「成果を意識せず、毎日勉強を3ヶ月間続ける」というのがおすすめだ。「バカかよテメエ。それができないから苦労しているんだろうが!」という反論が聞こえるけど、これまで英語を指導してきて学生、主婦、ワーキングママ、サラリーマン、経営者、海外在住者など色んな属性の学習者を見てきて一番現実的な答えがこれなんだ。多くの人は成果を焦りすぎている。それも非現実的な学習計画と速度で「最小の努力で最大の結果を得たい」という傲慢に満ちているんだ。特にSNSを見るとトップ0.1%くらいの成功事例ばかりを目にするから、「自分も彼らと同じくらい成果を出さないとダメだ」と思いこんでしまう。気持ちは分かる。だけどその強欲は今すぐ燃えるゴミの日に捨ててくれ。まずは成果を意識せず、とにかく勉強を毎日3ヶ月間続けることを最大の目的にしてくれ。もちろん、日によってはどうしても勉強する気になれない日も出てくるはずだ。そんな時は1日1ページでいいからテキストを進めよう。1ページなら忙しい人もできるだろう。そして進捗状況の学習記録をつけるようにしてくれ。学習記録については、こちらの記事でおすすめしているアプリがおすすめだ。
1日1ページだけでいい。成果が出る・出ないは一切考えず「とにかく、3ヶ月間毎日英語の勉強をすること」。まずはここだけに集中しよう。こんなゆるい目標なら、全然現実的な話のハズだ。たとえば「2ヶ月間で速読英単語必修編に掲載されている全英単語を暗記する」という目標をレベル1の段階から持つと、できる人・できない人にわかれてしまう。学習開始時点では時間があっても、仕事が忙しくなってしまって予定が狂ってしまったり、勉強法を早とちりしてミスってしまって全然進まないなんてこともあり得る。そうなると「目標を達成できなかった→自分はクソ人間だ」とまたすぐ挫折コースに進んでしまう。でも毎日勉強をする、成果は気にしないなら誰でもできるはずだ。まずは勉強を継続的に続ける習慣を身に着けてくれ。特に10年、20年ぶりに英語学習に戻ってきた中高年からのやり直し組だと、勉強習慣が抜けてしまっている。勢い任せで始めると確実に途中でしんどくなって放り出す。実際、自分はそういう人たちの屍の山を見てきた。たとえると、中高年から英語をやり直す人たちは、ずっと寝たきり生活をしていて、久しぶりに体を動かしたので筋肉痛になってしまったような状態だ。10数年ぶりの運動でいきなりフルマラソン走ろうとすると確実にくたばって土に帰ることになるので、まずは毎日運動を再開するというイメージでやってもらえればいい。そうすればレベル2へ行くことができるだろう。
レベル2.努力が習慣化し始める
レベル2についての話をしよう。これまでレベル1で話した「勉強習慣」が3ヶ月くらい続いた後の状態だ。おめでとう。あなたはレベル2になった。ここに来るとかなり勉強習慣がついており、3ヶ月継続したことで最初は「ほとんどわからないことだらけ」だったものが「結構分かるところが増えてきた」という感覚になるはずだ。英語の勉強法についても、頭だけで理解した状態と違って体験を通じてよく分かってきたので最初の頃に勉強法をミスっていることに気づいて軌道修正したりするのもこのタイミングだろう。
このタイミングになると、半分くらいの人はまだハッキリとした成長は実感していないので自信はないけど、勉強を継続できた自分を誇らしく思える。「思ったより継続できていて嬉しい」とか「人生でこんなに必死に勉強を続けられたのははじめて」という嬉しさが体の中に広がっていくタイミングだ。まずここまで生き残ったのは、全体の中のトップ20-30%に食い込んだということ。自分を褒めてあげてほしい。統計的にあなたは上位層に入ることができた状態だ。
しかし、まだまだ油断はできない。3ヶ月継続した状態だと、使っているテキストの後半に差し掛かっている事が多く「内容が難しくなってきた」とため息をつきはじめるタイミングだからだ。最初のテキストのほうが「思ったより簡単だからいけるかもしれない」と感じた人も、後半の応用を見て継続はできたけど、全部できるようになるだろうか?という別の不安がハチャメチャとともに押し寄せてくる。また、できるところも増えてきたとはいえ、反面できないところ、分からない箇所もまだまだ多い状態なので残りのタスク量を見て「うわー!こんなに残っているのかよ!」とめまいを感じる人もいるだろう。
結論、レベル2を突破したい人にやってもらいたいのは「後3ヶ月継続して、トータル半年間継続できれば挫折率はほぼ0%になる」という事実を理解することなんだ。オレが指導する英語多読のスクール受講生で、半年間継続してその後に英語の勉強が嫌になったり、挫折してしまった人はほぼ聞いたことがない。もちろん、完全に0というわけではないよ。やめてしまった人の多くは、結婚・離婚・両親の介護開始など大きな家庭環境の変化とか、仕事で昇進や転職で忙しくなりすぎてしまったりしたことで英語の勉強から離れてしまったというパターンなんだ。でも繰り返しだけど、英語が辛くてやめた人は、少なくともオレは知らない。だからこれまでの人生で何度も英語の勉強をして挫折を繰り返した人は、「とにかく半年間継続すれば、もう挫折しなくて済む」という希望を理解してくれれば良い。
レベル3.少しずつ努力の成長が感じられ楽しくなる
次はレベル3だ。半年勉強を継続したあなたは、最初の頃に比べて大幅に成長を実感できるはずだ。テキストを買ったばかりの新品のものを開いた時は、どのページもわからないものだらけ。むしろ分かるものが1つもなかったりしたのに、今ではほとんどの英単語が分かる状態になっていたり、英文が理解できる状態であることに感無量という感覚になる人も多い。また、英語学習記録をつけるアプリ、StudyPlusのデータを見てもしっかりと勉強記録が後に残っているので「こんなに頑張ったんだなあ」と後ろを振り返った時に努力の足跡に自信と誇らしさを感じるはずだ。
また、成長しているのは英語力だけでなく精神的にも意味でも同じだ。最初の頃はわからないところがあったら、すぐにやる気もぺしゃんこになっていたのに今ではいちいち落ち込むことはなくなったりする。それどころか、「もしかしてこの英単語って前の章で出てきたやつかな?」とか「この英単語の意味って、接頭語がこれだからこういう意味では?」みたいに少しずつ規則性やルールを理解できるようになり、推測できる力もついてくるようになる。そうなると実力がアップしているのを感じられるから、分からないものにぶつかっても気持ちは前向きになる。それだけでなく、英語の勉強法も試行錯誤を繰り返した結果、人に説明できるレベルに理解できているから「この勉強法を続けた先の未来に、自分はペラペラ英会話の夢がある」ということを実感できるので自信を持って英語学習に励むことができるだろう。
総合的に評価すると、レベル3ではこれまで勉強をしてきた知識が積み重なって分かるところが増えたことで、勉強そのものが楽しくなってくる段階なんだ。楽しいことをやっている時に挫折する人なんて世の中に一人もいない。楽しいデート、面白い漫画を読んでいる途中で放り出す人なんて世の中にいない。英語の勉強も「苦痛に耐えながらやるもの」というより「だんだん面白くなってきた。継続すればさらに楽しくなりそう」という状態になるから、努力することの苦痛は相当に減少している状態だ。
その反面、少しずつ遠い遠い先行き不安が生まれてくるのもこのタイミングなんだ。これまでコツコツ基礎固めを頑張って来たのは良いけど、この先の多読や英作文、英会話の勉強をするのが少し怖いという感じだな。「ここまで努力して頑張ってきてよかった!だけどもしも通用しなかったらショックが大きいのかも…」という感じ。なんでこのような心理になるかというと、ホメオスタシスといって人間は現状維持をしようとする機能があるからなんだ。英単語の暗記や英文法の勉強を苦労して身につけたことで、これまでやっていることが心地よく感じてしまい、その先のステージに行ってまたわからないことに直面することが不安で、いつまでも英単語の暗記や英文法の理解の段階にかじりついておきたいと思うような心理だな。これをコンフォートゾーンに入る、みたいな言い方をするんだけど、たとえるといつも馴染みのある行きつけの店ばかりいっていたけど、いざ冒険してまったく新規のお店を開拓しようとすると「もしも料理がおいしくなかったらどうしよう」「店員さんの対応が悪くて気分を害したらどうしよう」ということに不安を感じて、結局いつものお店で食事するみたいなイメージなんだ。
でもオレがスクールで指導している時には、「鉄は熱いうちに打てというが、熱い間に打ち終えないと熱はいつか冷めるぞ。だからガンガン先へ行け」と伝えるようにしてる。「もう少し完成度を高めてから進めよう」と完璧主義になりかけてたら赤信号だ。先に進んでくれ。ちなみに今の話を深掘りした話はこちらの記事で解説しているので良かったら見ておいてくれ。
レベル4.受け身な娯楽より努力のが楽しくなる
そしてレベル4。ここまで来ると、もう英語の勉強は他の趣味とか受け身の娯楽より断然楽しくなっている状態だ。目安で言うと、勉強期間は一年位で基礎課程を終えて英検やTOEICへ挑戦する段階だ。この段階になると、「教科書を読んでお勉強」ではなく「ガンガン問題を解いて現在進行系で実力アップ」という段階になっているので、スコアアップするのが楽しくなっている状態だ。半分ゲームみたいなものなので、空き時間ができたらぼんやりテレビやYouTubeみたり、漫画を読んで過ごすより「よっしゃ英語の勉強したろ」という感じになる。
受け身の娯楽とか趣味はやってもリターンはない。当然だ。娯楽なんだから。でも英語の勉強はビジネスやコミュニケーション力アップなど、実用性があるだけでなく具体的に試験の合否やスコアに反映されるし、何よりその後の人生で永遠に活用し続けることができる。つまり、資産化するんだ。そりゃ育てるのが楽しくなるので、この段階に来ると多少わからなかったり難しいものが出てきても、「お!成長できるやんけ最高!」みたいになる。イメージ、筋トレで重いダンベル持ち上げて苦痛を感じるほど嬉しくなるドM体質みたいなものだ。ここまでくれば、モチベーションなんていらない。一人でもゴリゴリ勉強し続けられる状態。オレも久しく連絡がなかった受講生から「ご無沙汰しております。ついにTOEIC900点取りました!」とか「英検1級合格したのでお知らせしますよっと」みたいなご報告を受け取る。
レベル5.努力している感覚がなくなる
そして最後のレベルがここ。もはや努力しているという感覚がなくなる状態だ。
ありがたいことにオレは今ここにいる。毎日、仕事やプライベートで英語を使い続けているので、「努力して勉強」とかの意識はまったくない。Gmailやビジネスチャットに外国人から連絡が来たら英作文をして返信するし、国際会議出てくれとZOOMのURLが届いたら自宅から参加して英語でディスカッションしてる。また、SNSとかYouTube、ブログも英語圏で情報収集してるから、「ああ、今の時間は英語の勉強になっているな」とか「英語力が衰えないように頑張らないと」とかの意識は1ミリもない。必要とする情報がたまたま、日本語で出て来ないことが多い分野を仕事にしているので必要にかられて英語を使っているという感じだ。あなたにわかりやすくいえば、スマホを使っている状態に近いかもしれない。あなたは明日の天気が知りたければスマホで検索し、友達からLineが来たらスマホで返信すると思う。特に意識して「スマホ使わないと!」みたいにはならないと思うけど、その状態に近い。必要だから使ってるだけ。
過去の受講生でもこの領域に到達した人はたくさんいる。海外に転職して英語で仕事している人とか、外資系に就職して社内研修の段階からオールイングリッシュになりましたと連絡をくれた新卒くんまで色々いる。
今回は以上だ。分かってもらえたと思う。繰り返しだけど、長い間英語学習から離れていた初心者が、いきなり苦痛なしで英語の勉強を続けられるほど甘くはない。それなら日本人はみんな英語力がパーフェクトに備わっているはずだろう。だからこそ、最初から力みすぎて非現実的な努力目標なんて設定するべきではないと思う。人生に一発逆転ホームランはないので、現実的にコツコツと1つずつレベルアップするイメージで努力レベルもアップしてくれ。参考になれば幸いだ。
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